刑事事件 [事例10]

二回目の万引き→示談不成立でも「供託」をして不起訴処分に

50代男性
罪名結果
窃盗 不起訴

背景

ある日、Aさんはお金の面で困っていたことから、駅の構内の食料品店に入り、豆腐やサンドイッチなどを万引きしてしまいました。その後、店の外に出ましたが、店員に声をかけられて発覚をしてしまいました。

店の事務所に行き、被害届を出すといわれ、そのまま警察署へ行き調書を作成しました(逮捕はされませんでした)。

次の日、ご本人が相談に来られて依頼を受けました。Aさんは、20年位前にも万引きで検挙されたことがあり、注意されて終わっていたことから、今回はどのような処分となるのかを心配されていました。
また、できれば示談を成立させてほしいとご依頼されました。

対応

Aさんから示談交渉を行ってほしいとの依頼がありましたので、我々の方で被害者の方と交渉するために、警察官に被害者の情報を教えてほしいと頼み込みました。
しかし、被害者の方は示談交渉を行うつもりはないとのことで、我々には被害者の方の情報は伝わりませんでした。

そこで、Aさんには、供託という方法があるとお伝えしました。

供託とは、被害者の方に損害賠償金を受け取ってもらうために、供託所にお金を預けるという制度です。この方法では、相手の方との直接の示談交渉は行えませんが、被害者の方にはお金を受け取ってくださいとの意思を示せると同時に、加害者の方でも金銭的な負担をして被害者に賠償を行うべく努力したということを公にすることができます。
そして、その結果を、事件を担当する刑事や検察官に伝えることが可能です。

Aさんは供託を行いたいとの意向でしたので、我々の方で書類を整え供託所に供託を行いました。そして、その結果を担当検察官に報告しました。

結果

結果として、最終的にAさんは不起訴になりました。

Aさんには①20年くらい前とはいえ同種前歴があったこと、②示談が成立していなかったこと、この2点から不起訴とはならず罰金以上の刑となってもおかしくない事案でした。

Aさんが幸いにも不起訴となったのは、やはり供託を行えたということが大きかったと思います。しかも、その額も20万円余りと決して低くはない額でしたので、その点も評価されたと考えます。

このように、万引きという窃盗の同種前科があり、しかも示談が成立できていない事案でも、決してあきらめてはいけません。そのような場合でも供託という方法があります。
ただ、供託は、被害者の店舗等・会社名等が分からないと行えない点に注意が必要です。

同種前歴があって、今回の処分がどうなるかご心配という方は、是非一度、ご相談いただきたいと思います。

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