債務整理の手続を弁護士に早期相談するメリット
泉総合法律事務所には、債務整理に関する相談を希望される方が、毎週多数いらっしゃいます。
ただ、相談案件の中には、「もっと早く相談に来ていただければ」と思うケースも存在します。
特に、相談が遅れてしまったために、採りうる債務整理の選択肢の幅が狭まってしまったと感じることがあります。
借金問題に悩む方にとって、早期相談の大きなメリットの一つは、問題解決に当たっての手続の選択肢が広がることだと思います。
以下では、債務整理の方法を選択する上で弁護士に相談するメリットについて述べた上で、早期に相談するメリットについても解説させていただきます。
このコラムの目次
1.債務整理を弁護士に相談するメリット
債務整理を検討するうえで、弁護士に相談する主なメリットは、以下の通りです。
- 弁護士による受任通知で、早いうちに業者から本人への督促が止まる
- 精神的に楽になる
- 債権者との煩わしい交渉や複雑な裁判所の手続を弁護士に一任出来る
- 借金額が膨らむ前に相談をすれば、その後に取れる選択肢が増える可能性がある
弁護士に依頼をすると、弁護士は債権者に対して「受任通知」というものを送付します。これにより、債権者は債務者への直接の督促・取立てが出来なくなります(但し、個人債権者や商品の売主、外注先等については、貸金業者のような法律上の義務まではないので、その後も本人宛の督促が続く可能性はあります)。
督促が止まれば、精神的に楽になるのは間違いありません。
また、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理手続は、どれも一般の方が自力で行うことが難しいものです。
任意整理では、債権者との高度な交渉が必要となります。債務者個人が相手では、そもそも債権者が話し合いの席に着いてくれないということもあり得ます。いわゆる門前払いとなる可能性があるのです。
また、個人再生や自己破産では、裁判所を通す手続のため、様々な提出書類が必要となり、これらを不備なく用意した上で、平日に裁判所へと赴かなければなりません。
書類に不備があれば手続に失敗してしまいますし、自身の仕事をしながら、上記のことを並行して行なうのは、一般の人にはかなりの負担となるでしょう。
しかし、弁護士に依頼をすれば、上記のような債権者との煩わしい交渉や複雑な裁判所の手続を一任できるため、本人の手間が一気に削減されます。
2.弁護士に早期相談をするメリット
では、以下において、任意整理・個人再生・自己破産など、それぞれの手続を「早期に」相談するメリットを具体的に解説します。
(1) 任意整理で資産を残せる
任意整理とは、裁判所を介さないで、債権者と債務者の合意で行う債務整理です。
任意整理であれば、自家用車や住宅などの資産を残せる可能性があります。
特に、個人再生の利用が困難な場合には、任意整理が可能か否かが、住宅を残せるかの分かれ目になることもあります。
しかし、任意整理では、債務額に応じて支払原資が必要であり、また、概ね和解後3年から5年以内に元本を返済出来なければ、債権者側に和解に応じて貰えません。
借入額の金額がかさんでいる場合、特に、借金を返すために複数の消費者金融からの借入しているようなケース(本人の収入では全業者の返済資金を賄いきれない、いわゆる自転車操業の状態)では、本人の収入に比して債務額が膨大になっているようなケースも存在します。
そのような場合は、残念ながら任意整理ができない場合も出てきます。
借金の返済が困難になり始めた時点で任意整理に踏み出そうとしていれば何とかできたかもしれないのに、弁護士を入れる時機を逸してしまったために、任意整理が困難になってしまったケースは多数存在します。
詳しくは以下のコラムをご覧ください。
[参考記事]
柏市周辺で任意整理を検討中の方へ|任意整理のメリット、デメリット
(2) 個人再生でマイホームを残せる
住宅ローンがある方で、住宅を残したい場合であれば、個人再生を選択の上、住宅資金特別条項を付ける(その上で、住宅ローンの支払いだけは継続していく)ことをまずは考えます。
しかし、中には、相談時点で、住宅ローンやマンション管理費、固定資産税等の滞納があり、その解消が見込めない方がいらっしゃいます。
これらの滞納があるために、個人再生が困難になるケースが出てきます。
また、住宅ローンの滞納がかさんだ結果、保証会社に代位弁済されてしまっているケースもありますが、この場合は、保証会社による代位弁済後6か月以内に個人再生を申立てないといけないため、申立が困難になってしまうケースも存在します。
このように、住宅ローンの支払いに支障が生じた時点ですぐに相談に来ていただいていれば、やり方次第で、個人再生によりマイホームを残せたのではないか、と思われるケースもあります。
[参考記事]
柏市の弁護士に個人再生相談|個人再生のメリット・デメリット
(3) 自己破産の費用が減り、簡易的に済む
自己破産を決断した場合であっても、申立を受けた裁判所が、あなたの自己破産を同時廃止とするか管財事件とするかの振り分けが問題となります。
同時廃止の方が、自己破産の裁判所費用が安くなり、また、手続自体も簡易的なため、迅速に手続を終えることができます。
一般論として、免責不許可事由がある場合や、換価する資産がある場合には、管財事件に振り分けられてしまいます。
免責不許可事由とは、裁判所が自己破産による免責(借金を免除すること)を許可するかどうかの判断に際して問題となる事由のことで、浪費・ギャンブルなどが原因の借金、財産の隠匿・損壊、偏頗弁済や詐術行為などがこれに当たります。
債務額が多額になると、裁判所が浪費等を疑い、管財事件に振り分けられる可能性が高まります(例えば、短期間に1000万円もの借金をした人が、その借金の使途を全て生活費として裁判所に申告した場合、申立書を見た裁判所は、生活費だけでそんな大金を使うのは不自然だ、大きな金を一度に浪費したか、あるいは、どこかに借りたお金の一部を隠しているのではないか、と疑うでしょう)。
また、借金がかさむ中、とうとうキャッシング枠での借入ができなくなったために、クレジットカードのショッピング枠を使った換金行為(ショッピング枠で金券や電化製品などを購入すると同時に、これを転売して利益を得る行為)に手を出してしまうと、それもまた免責不許可事由となります。
支払が困難になった時点で直ちに、破産申立の方向に踏み切っていれば、こういった問題を回避でき、同時廃止による簡単な手続を取り、費用も安く済ませることが可能だったのでは、という方もいらっしゃいます。
[参考記事]
自己破産のメリットとデメリット
3.まとめ
以上はあくまでも一例ですが、弁護士として相談を受ける中で、もっと早く相談に来てもらっていれば、他の選択肢があったはずなのにというケースは少なくないという印象です。
特に、到底自身の収入では債務を返済できないことが判明したのであれば、一人で思い詰めずに、なるべく早く弁護士と相談することをおすすめいたします。
各手続のメリット・デメリットをご理解いただいた上で、どの手続を選択するか、弁護士と相談しながら決定していきましょう。
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