交通事故

物損事故から人身事故への切り替えには交通事故の診断書が必須!

物損事故から人身事故への切り替えには交通事故の診断書が必須!

交通事故では「診断書」がとても重要な役割を果たすケースがあります。

提出先はいろいろありますが、物損事故から人身事故への切り替えの際に警察に提出する診断書が特に重要です。

ここでは、交通事故の診断書を警察に提出する意味や、期限に遅れたときの対処方法をご説明します。

1.診断書とは

そもそも「診断書」がどのようなものなのでしょうか。

(1) 診断書に書かれていること

診断書とは、医師が患者を診察し、病状について判断した結果を記す書類です。

患者の氏名、生年月日、病名や傷病名、具体的な病状や症状、治療に要する見込み期間などが記載されています。

(2) 診断書を作成できる人

診断書を書くことができるのは「医師」のみです。医師のみが、人を「診察」し、「治療行為」をすることができるからです。

診断書は、診察や治療の結果を記載するものなので、基本的に実際に診察治療を行った医師しか作成できません。

たとえば、整骨院の先生は医師ではなく柔道整復師なので、診断書を作成することはできません。

交通事故後、診断書を書いてもらいたければ、「整骨院」ではなく「整形外科」などの病院を受診する必要があります。

(3) 診断書の書式

診断書には、特に書式はありません。病院に行き「診断書を書いてください」とお願いすれば、その病院の書式で医師が診断書を作成して発行してくれます。

ただし、特定の書式に従った診断書が必要になるケースもあります。たとえば、後遺障害の等級認定を申請するときの「後遺障害診断書」や、障害者認定を受けるための診断書などにはそれぞれ専門の書式があるので、患者が書式を用意して医師に手渡す必要があります。

自賠責の診断書にも、専用の書式があります。

(4) 作成費用

診断書を作成してもらうと、料金が発生します。

診断書には健康保険が適用されないので、実費で3000~5000円程度かかることが多いです。

後遺障害診断書などの複雑な診断書を依頼すると、1万円やそれ以上かかることもあります。

(5) 診断書作成にかかる日数

医師に診断書を依頼すると作成に取りかかってくれますが、内容によってはすぐには書けないこともあります。忙しい医師の場合には、後に手の空いたときに書く、ということもあるでしょう。

診断書の作成には、即日~1週間程度かかることが多いです。単純な診断書であればすぐに発行してもらえますが、内容が複雑になると時間がかかります。

急いでいるときは急ぎであることを伝えましょう。

2.診断書と後遺障害診断書との違い

交通事故では「後遺障害診断書」が有名ですが、これと一般の診断書にはどのような違いがあるのでしょうか?

診断書と後遺障害診断書は、全く別のものというわけではありません。後遺障害診断書も広い意味での診断書の1種です。記載内容が、後遺障害の内容や程度に集中しているだけです。

ただ交通事故で「診断書」という場合には、後遺障害診断書以外の診断書を指すことが多いです。

こうした一般の「診断書」は、患者の氏名や生年月日、傷病名や治療に要する期間などが書かれている簡易なものです。後遺障害の内容が詳しく書かれていることはありません。

また、後遺障害診断書には専門の書式がありますが、一般の診断書は書式が決まっておらず、病院が自由な書式で作成します。

ただし、自賠責保険に診断書を提出する場合には、自賠責保険の書式を利用します。

さらに、診断書の作成時期にも違いがあります。

後遺障害診断書を作成するのは、症状固定した後、後遺障害認定申請をするときです。これに対し一般の診断書は、病院で診察を受けた後であればいつでも書いてもらえます。交通事故直後に通院したら、1日後でも診断書を書いてもらえるということです。

費用も、後遺障害診断書に比べて一般の診断書の方が安いことが多いです。

3.診断書が必要なケース

重要なのは、診断書を警察へ提出する場面です。

なぜ交通事故で警察に診断書を提出する必要があるのか、疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうから、以下で説明します。

(1) 人身事故と物損事故

交通事故には「物損事故」と「人身事故」の2種類があります。

基本的には、交通事故が起こったことを警察に通報するときの当事者の申告によって、物損事故か人身事故かが決まります。

たとえば、車と車が接触しても誰も怪我をしなければ、警察を呼んだときに「物損事故」として届け出て、物損事故扱いとなります。

これに対し、どちらかあるいは双方が怪我をしていれば、「人身事故」として届け出るので、その後は人身事故として取り扱われるようになります。

(2) 物損事故から人身事故への切り替えが必要なケース

問題になるのは、「事故当時は誰も怪我をしていないと思っていたけれども、実際には怪我をしていたと後に判明した」ケースです。

追突事故などに遭った際、どこにも外傷はなく、事故現場では特に痛みなどの症状を感じない方がおられます。その場合、「物損事故」として届出をするでしょう。

しかし、むち打ちなどになった場合には、事故当時に自覚症状がなくても、1日2日経ってから痛みやしびれが出てくることがあります。

すると被害者は病院に行き、医師から「むち打ちですね」と言われ、交通事故が原因でむち打ちになっていたことに気づきます。

ただ、警察にはすでに物損事故として届出をしてしまっています。そのままでは、「物損事故の交通事故証明書」しか発行されませんし、加害者も刑事事件になりません。

物損事故の交通事故証明書しかなかったら、その交通事故は公的に「物損事故」扱いとなるので、保険会社も物損事故を前提とした対応しかしません。

物損事故では、治療費や休業損害、慰謝料などは発生しないので、物損事故扱いのままになると、被害者はこれらの賠償金を受け取ることができず、車の修理費用などの物的損害しか支払ってもらえないのです。

そのようなことになる被害者が受ける不利益が大きすぎるので、物損事故から人身事故へ切り替える手続きがあります。

(3) 人身事故への切り替えには診断書が必須

交通事故後、物損事故から人身事故へ切り替えをするには、警察に行って申請しなければなりません。このとき、診断書が必要です。

人身事故であることを証明するには、実際に病院に行って、診察した医師が「怪我をしている」と診断していることが必要だからです。

そこで、交通事故でいったん物損事故として届け出てしまい、後からむち打ちなどの怪我をしていると気づいたら、すぐに病院に行って診断書を作成してもらいましょう。

警察に持参すると、物損事故から人身事故に切り替えができて、人身事故の事故証明書を発行してもらえるようになります。

(4) 保険金請求

被害者が保険会社に保険金請求するときにも診断書が必要になるケースがあります。

特に、自賠責保険に被害者請求をするときには、被害者が病院に依頼して、診断書や診療報酬明細書を取得しなければなりません。

このときには、病院の書式ではなく自賠責保険の書式による診断書が必要です。

4.警察への診断書の提出期限

物損事故から人身事故に切り替えをするとき、警察へ診断書を提出する期限はないのでしょうか?

まず法律や制度上、定まった期限は設けられていません。しかし、交通事故から時間が経過すると、事故と怪我との因果関係が疑わしくなってしまいます。

そこであまり遅くなると、警察が人身事故への切り替えを受け付けてくれなくなるので、注意が必要です。

診断書の提出によって人身事故への切り替えをしたい場合には、できれば事故後3日以内には診断書を提出すべきです。

遅くとも10日以内には警察に行って手続きしましょう。

5.警察に診断書を提出しないとどうなるか

物損事故として届出をしてしまったとき、警察に診断書を提出しないで放置しておくとどうなるのでしょうか?

(1) 自賠責保険が適用されない

この場合、物損事故の事故証明書しか発行されないので、物損事故扱いとなります。

すると、自賠責保険適用されません。自賠責保険は人身事故のケースでしか保険金が支払われないからです。

(2) 任意保険会社の対人賠償責任保険が適用されない

物損事故の場合、任意保険会社の「対人賠償責任保険」が適用されません。

適用されるのは、物損事故についての「対物賠償責任保険」のみです。対物賠償責任保険から支払われるのは、以下のような費用です。

  • 車の修理費
  • 全損した場合の買い換え費用
  • 代車費用
  • 評価損
  • 休車損害
  • 積荷の損害

そして、対人賠償責任保険が適用されないので、以下のような費用は支払われません。

  • 治療費
  • 付添看護費
  • 入院雑費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害遺失利益
  • 後遺障害慰謝料

つまり、治療費は全額自己負担になり、休業損害も慰謝料も一切支払われないということです。

むち打ちの場合にも後遺障害が残ることがあり、その場合には後遺障害慰謝料や逸失利益が1000万円以上になることもありますが、物損事故になってしまったら後遺障害関係の賠償金も一切受け取れなくなるので、大きな不利益が発生します。

(3) 人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険が支払われない

人身事故に遭ったとき、被害者が自動車保険の「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」に加入していたら、自分の保険会社から保険金を受け取ることができます。

しかし、事故が物損事故扱いになると、これらの保険金受け取ることもできません

以上より、物損事故になると、相手の保険会社からも自分の保険会社からも人身損害についての保険金が支払われないので、被害者が受けられる補償が大きく減額されてしまうのです。

6.診断書の提出が遅れた場合の対処方法

そうはいっても、事故後毎日を忙しくしている間に日数が過ぎてしまい、警察で診断書を受け付けてもらえなくなることがあります。

その場合には、物損事故としての車の修理費用などを受け取ることしかできず、慰謝料などの人身損害の賠償金は諦めるしかないのでしょうか?

実は、そういうわけでもありません。このようなとき、保険会社に対して「人身事故証明書入手不能届」という書類を提出すると、人身事故扱いしてもらえる可能性があります。

人身事故証明書入手不能届とは、人身事故として届出ができなかった理由を記入して保険会社に提出するための書類です。保険会社に書式があるので、取り寄せて作成・提出しましょう。

人身事故証明書を入手できない理由を書かなければなりませんが、書式では「受傷が軽微で検査通院のみであったため」「受傷が軽微で短期間で治療を終えたため」「公道以外の交通事故であったため」の3種類の理由を選べるようになっており、それ以外には「事故当事者の事情」「その他」という欄が設けられています。

「事故当時には痛みなどの症状を感じられなかったが、その後痛みが出てきて病院に行った。ところが警察で人身事故への切り替えを受け付けてもらえなかった」などの事情を書いて提出するとよいでしょう。

この書類が受け付けられたら、保険会社で人身事故として取り扱ってもらえて、人身事故関係の賠償金を支払ってもらえるようになります。

交通事故では「診断書」が重要なポイントとなるケースがあります。物損事故として届け出てしまったけれど、痛みなどの自覚症状が出てきたら、我慢せずにすぐに病院に行き、警察で人身事故への切り替えをしましょう。

7.交通事故でお困りの方は泉総合法律事務所へ

交通事故に遭ったら、なるべく物損事故ではなく人身事故として処理するべきです。

もし、むち打ちのように事故後数日経ってから症状が出始めたら、すぐに病院に行って診断書を作成してもらい、人身事故に切り替えましょう。物損事故で処理すると、治療費や慰謝料等の損害賠償を請求できません。

人身事故の切り替えはもちろん、交通事故でお困りの方は、泉総合法律事務所へご相談下さい。解決実績豊富な専門家弁護士が、被害者の方のために最後まで親身になってサポート致します。

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