交通事故

主婦の休業損害について|休業損害額はどのように計算するべきか

主婦の休業損害について|休業損害額はどのように計算するべきか

夫や子供の健康を支える家庭の主婦が交通事故に巻き込まれてしまい、怪我をしてしまうと、家事や育児がとどこおって一大事になります。

交通事故の被害者は、加害者に対して、自身の被害についての損害賠償請求をすることが民法上・道路交通法上認められていますが、そのひとつとして「休業損害」といって、事故で働けない期間について、事故に遭わなければ得られたであろう収入の損害賠償請求ができます。

主婦の場合、家事労働の負担は多い一方、就労者のように外部から目に見える金額として収入がはいってくるわけではないですので、休業損害がどのように認定されるのか気がかりだと思います。

この記事では、主婦の方の休業損害について知っておきたい事項をまとめ、またどのように休業損害額が計算されるのかを説明します。

1.休業損害について

民法709条では、他人の生命、身体、財産に損害を与えた者は、その損害を賠償する義務を負うべきであると定められています。

ここでいう「損害」とは、財産的な損害と、事故のショックなどの精神的な損害にわけられます。財産的な損害は、さらに積極損害と消極損害にわけられます。

積極損害は、名前からもイメージできるように、交通事故にあったことにより新たに支払わなければいけなくなった金額をいい、例えば病院への入院や通院などの医療費用、その交通費などはこれに該当します。

消極損害とは、事故がなくて健康な体であったのであれば得られたであろう金額が、事故の負傷により得ることがかなわなくなったので、その部分を損害として填補するというものをいいます。

休業損害とは消極損害のことで、会社に行けなくなったり仕事ができなくなったりと、就労ができないことで、得ることができなかった賃金分をいいます。

専業主婦に休業損害は認められるか

専業主婦は、就労者と違って外部から金銭対価を得ていないから、休業損害は受けられないと勘違いされている方がまれにいらっしゃいます。

結論からいいますと、専業主婦にももちろん休業損害は認められます。専業主婦で事故の被害者になられた方は、請求漏れがないように堂々と主張しましょう。

家事労働は大きな労働力の提供であることは、裁判例からも認められてきたほぼ争いのない考え方です。

専業主婦の仕事は、掃除、洗濯、買い物、育児などかなりの重労働です。たとえば、これらの仕事をアウトソースしようとすると、1時間数千円プラス交通費などの報酬を支払わなければならないことからも、客観的な価値はイメージしやすいと思います。

また、365日休みなく家族のために働くという非常に重要な仕事でもあるのです。

最近は女性の社会進出がすすんでいますので、夫が主夫となり、妻が就労するというパターンもありますが、この考え方はもちろん「主夫」の場合も同様です。

2.休業損害慰謝料の計算方法

次に、休業損害慰謝料の計算方法を説明します。

慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。弁護士基準は別名裁判基準ともいいます。算定基準をどれにするかで金額はかなり変わってくることになります。

実は、自賠責基準が一番低く、弁護士基準が一番高額な損害賠償金となりますので、被害者としては弁護士基準での請求を検討したいところです。

弁護士基準とは、過去の裁判例で、事故や被害者の状況に応じて一定の賠償額が蓄積されてきているので、それを対象の事故にあてはめて算出をするというものです。

弁護士基準は、東京地裁の交通部が出版している通称「赤い本」など書籍化されており、裁判官もよほどの特別な事情がなければ、訴訟ではこの前例にしたがって損害賠償額を認定するといわれています。

3つの基準いずれを採用する場合であっても、損害賠償額は「1日あたりの基礎収入額×休業日数=休業損害額」という算式で計算します。しかし、同じ算式でも、あてはめる係数である基礎収入額が、3つの基準でそれぞれ異なるため、算定結果が異なります。

以下、それぞれについてご説明します。

(1) 自賠責基準の休業損害

自賠責基準で休業損害を計算する場合は、基礎収入を、基本的には1日あたり5,700円とみなして計算します。

職業に限らず、基礎収入を一律でこのようにみなすため、主婦の場合も同様になります。

ただし、実際の基礎収入がこれより高い場合、それを資料などにより証明できる場合は、19,000円を限度額として、実際の基礎収入日額で計算してもらうことが可能です。

(2) 任意保険基準での休業損害

任意保険は自賠責と異なり法律による定めがあるわけではないですので、各保険会社が定めた基礎収入基準に基づく計算ということになります。

実際には、自賠責基準と同じように日額5,700円で計算する場合もありますし、実際の収入をベースに基礎収入を計算する場合もあります。

自賠責保険基準よりも高い認定となることが多いですので、保険会社からの提示が日額5700円からの交渉スタートでも、現実の収入に近づけるように交渉していくことができる可能性があります。

(3) 弁護士基準での休業損害

弁護士基準では、みなし日額5700円という基準はないので、実際の収入を根拠に個別具体的に基礎収入の認定をします。

被害者が会社員の場合、事故にあう直近3ヶ月の収入の日額平均を、基礎収入として認定します。

被害者が個人事業主の場合には、交通事故の前年分の確定申告書に記載されている年収から、1日あたりの基礎収入を計算します。

3.専業主婦の休業損害

自力で交渉しても、自賠責基準である1日あたり5,700円を基礎収入と計算して請求ができることになりますが、先述の通り弁護士基準での請求のほうが高額で認定されやすいので、被害者の方は弁護士基準での請求を検討されることをおすすめします。

弁護士基準を含めて、採用される現実の収入について、専業主婦の場合は、厚生労働省の統計データである賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均賃金が現実の収入であると考えて計算します。

賃金センサスは毎年更新されますが、平均すると1万円弱の認定となることが多いようです。

これは日額5700円からくらべるとかなりの開きがありますので、仮に任意保険会社から日額5700円から提示を受けたとしても、諦めずに交渉することで、結果が大きく変わるかもしれません。

(1) 休業日数について

会社員であれば、実際に出社を休んだ日を休業日数とします。しかし、専業主婦の場合は外形上ぱっと証明しづらいので、保険会社と争いになることがあります。

最高裁の昭和50年7月の判例で、主婦の休業日数は「受傷のため、家事労働に従事できなかった期間につき認められる」とされており、入院日数や通院日数を基本としてこの日数を証明していくことになります。

また、症状固定を境にして、重症時期の段階は100%休業、少し状態がよくなり軽い家事ならばできる状態であれば、50%、25%の休業など傾斜をかけて算定していくという方法もあります。

いずれの場合も、医師の診断書や領収書などに印字されている入通院の日付を示す客観的資料はきちんと保存し、休業日数に争いが生じないように準備しておくことをおすすめします。

(2) パートをしている主婦(兼業主婦)の休業損害

主婦の中には、外では就労しない専業主婦も、パートなどで就労をしつつ主婦をメインとする兼業主婦もいます。

最後に、兼業主婦の場合には、休業損害をどのように考えるのかご説明します。

兼業主婦の場合、パートなどの実際の収入が、上述した賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均賃金より少ない場合も多くあります。ご主人の扶養控除の範囲での収入であれば、課税額がおさえられるというメリットもあるからです。

その場合は、専業主婦のほうが兼業主婦よりも損害が大きいとすると不公平になるので、実際の収入は考えず、専業主婦の場合と同様に上記の賃金センサスで基礎収入を認定します。

逆に、兼業主婦で、賃金センサスより実際の収入のほうが高い場合は、実際の収入で基礎収入を認定します。

なお、兼業主婦のパート代を賃金センサスに加算して基礎収入を認めるという計算方法は、基本的には認められていません。

4.まとめ

主婦の家事労働の対価性については、きちんと判例で認められているものです。万が一、休業損害が認められないという保険会社の連絡があったり、損害賠償の提示金額が著しく安くて納得がいかなかったりする場合は、一度弁護士にご相談ください。

交通事故に詳しい弁護士は、主婦を含めさまざまな職業の休業損害についての知識や経験をもっていますので、示談交渉が有利にすすめられる可能性があります。

被害に遭われた方が納得のいく損害賠償金を受け取ることができるよう、泉総合法律事務所柏支店は、交通事故の被害者の方を全力でサポート致します。

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