刑事事件

保釈とは何か|弁護人による刑事事件弁護活動

保釈とは何か|弁護人による刑事事件弁護活動

みなさんも、たとえば芸能人が逮捕されてしまったニュースにおいて、「保釈金○○万円を支払い、釈放されました」との見出しで、警察の玄関で深々と頭を下げて謝罪会見をする様子をテレビで見たことが一度はあるのではないでしょうか。

しかし、ご家族やご友人が逮捕・勾留されてしまったが、結局起訴されてしまったという方もいらっしゃるかと思います。

ここではこの「保釈」という制度につき、その意味、そして要件や手続きなどを解説します。

1.保釈の定義

「保釈」とは、刑事手続きにおいて、公判請求されて刑事裁判の公判を待つ者(「被告人」といいます)のうち、身柄を拘束(「勾留」といいます)されている者につき、裁判所の許可を受け、さらに保釈金を裁判所におさめることで、裁判が終わるまでの間、一時的にその身体拘束から解放するという制度です。

2.保釈の要件

(1) 権利保釈

そもそも裁判所は保釈の請求を受けた場合、法律で定められた保釈についての「不許可事由」がない場合には、保釈を認めなければなりません。

これを権利保釈といいます。

この「不許可事由」とは、刑事訴訟法89条に規定されており、内容は以下の通りです。

  • 1号…死刑、無期、短期(その罪において、法律で決められた刑の重さの刑罰の範囲のうち、下限の方)1年以上の懲役・禁錮に該当するような重大な罪を犯していた場合
  • 2号…過去に、死刑、無期、長期(その罪において、法律で決められた刑の重さの刑罰の範囲のうち、上限の方)10年を超える懲役・禁錮に該当するような重大な罪について、有罪判決の宣告を受けたことがある場合
  • 3号…長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を、常習として犯していた場合
  • 4号…罪証隠滅をしてしまうのではないかとの疑いがある場合;
  • 5号…被害者や証人などの事件関係者に対し、危害を加えたりするのではないかとの疑いがある場合
  • 6号…氏名・住所が不明の場合

以上のような事由がない場合、裁判所は保釈を認めて、被告人を釈放しなければならないというわけです。

(2) 裁量保釈

上記の不許可事由に形式的に該当する場合でも、裁判所の裁量により、被告人の保釈が認められる場合があります。

これを「裁量保釈」といいます。

あくまで「裁量」なので、上記「不許可事由」のどの項目に該当するのか、4号や5号の場合には、どの程度の疑いがあるのか、保釈の必要性がどれほどあるのか、逆に身柄を拘束しておかなければならない事情がどれほどあるのか、など、総合的に考慮して裁判所が判断することになります。

(3) 争点なる項目

やはり、よく問題となるのは4号の罪証隠滅のおそれと、5号の事件関係者への威迫のおそれです。

このような事由がないことをいかに理論的かつ説得的に裁判所に説明できるかが重要になってきます。

また、法定の「不許可事由」にはあげられていませんが、被告人の逃亡のおそれについても実際の裁判官の判断には大きく影響してきます。

後述の保釈金納付の担保により、この逃亡のおそれは解消されていると法律は考えているからです。

しかし、実質的には証拠隠滅の中には、被告人自身も証拠の一部(たとえば裁判においては被告人質問における自身の供述の重要な証拠です)と考えるなどして、この逃亡のおそれの有無も保釈を認めるかどうかの判断においては重要な要素と考えられているようです。

(4) 保釈金の納付

上記のような要件を満たし、裁判所からの保釈の許可が下りたとしても、裁判所が決めた保釈金を納付しなければ、実際に身柄が解放されることはありません。

この保釈金とは、正式名称を「保釈保証金」といい、被告人が逃亡しないよう、その代りの担保として裁判所に収める金銭のことをいいます。

あくまで被告人の逃亡防止のためのものなので、無事に裁判が終われば、その結果が有罪か無罪かを問わず返還されることとなります。

相場としては150万~200万あたりに設定されることが多いと言われていますが、結局は「被告人に逃亡を断念させるだけの金額」であることが必要なので、起訴されている罪の内容や、前科前歴の有無・内容、被告人やその家族の経済状況などによって異なってきます。

※保釈は許可されそうだが、保釈金の工面ができそうにないという方のために、「保釈支援協会」という、保釈金を立て替えてくれる機関も存在します。ただし、金額や期間に応じて手数料が必要になることには注意が必要です。

3.弁護活動

では、この保釈について、弁護人がついている場合にはどのような活動をすることになるのでしょうか。

弁護人とは、刑事事件において、被告人を弁護するために活動する弁護士のことです。

弁護人の主な活動は、前述の通り争点となることが多い「罪証隠滅のおそれ」や「事件関係者への威迫のおそれ」がないことを裁判所に説明することです。

たとえば、捜査機関による防犯カメラなどの客観的証拠の収集がすでに終了しているような場合には、そもそも証拠隠滅はもうできないと主張することができるでしょうし、被告人が一貫して自らの罪を認めているような場合には、被告人に罪証隠滅や事件関係者への威迫の意思はないことを示していると主張することもできるでしょう。

被害者との示談が成立しているような場合には、このような恐れはより少ないと主張できるでしょうし、親族や友人が被告人の身元を引き受けて、被告人が裁判への出頭などは怠らないよう責任をもって監督する旨の誓約書などを書いてくれる場合には、これもアピールすることができるでしょう。

弁護人は、このような要素をできるだけ積み上げて、これを「保釈請求書」として保釈の請求と同時に裁判所に書面にてアピールすることになります。

また、担当の裁判官との面談を行うこともできるので、口頭にて補足したり、強調したい部分をさらに主張するなどして、保釈の確率が少しでも上がるような活動をすることができます。

4.保釈については泉総合法律事務所へご相談下さい

以上のような活動は基本的に弁護人しかできませんし、罪証隠滅や事件関係者への威迫の恐れの検討など、専門家として慎重な検討が必要なる争点もあります。

保釈を考えている方は、直ぐに刑事事件の弁護実績が豊富な泉総合法律事務所へご相談下さい。

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