千葉県柏市の法人破産数と破産事情
千葉県柏市は、たくさんの若者が集まる街としても有名です。一部では、「千葉の渋谷」と呼ばれているそうです。
そのくらい多くの若者が訪れる街ということでしょう。実際、交通の便も非常によく、ショッピングや娯楽施設もたくさんあるため、住みやすい街として親しまれています。
そして、若者や多くの人が集まる街ということは、商業・産業も盛んです。柏市内で事業を営まれている方も多いでしょう。また、会社を運営されている方は、地域経済についても熟知しておきたいはずです。
ここで注目すべきは、近年の法人破産数についてです。地域でどれくらいの法人破産があるかを知ることで、経済状況を把握することができます。
ここでは千葉県柏市の法人破産事情をお伝えします。その際、柏市の裁判所情報や、法人破産・民事再生の選択肢についてもご説明します。
このコラムの目次
1.柏市で法人破産事件はどれくらいあるのか
まずは、全国や千葉県の統計、柏市内の法人破産の最新統計を見ていきましょう。
(1) 全国の法人破産
どれくらいの会社が破産しているの?
最新の司法統計では、どのくらいの法人破産が確認できるのでしょうか。自己破産全体の数も含めて見ていきましょう。
平成28年度は、全国で破産事件(既済)が71316件確認されています。全体のうち法人破産は7201件であり、自己破産全体の約1/10が会社や企業の破産ということになります。
手続きの種類別を見てみると、配当手続きのある管財事件としては1825件(簡易配当、同意配当、最後配当)と5201件(異時廃止)を合わせて、7026件という結果になります。
他方、簡易手続きである同時廃止は3件しか報告されていないため、法人破産ではほとんどの手続きが管財事件という結果になっています。
個人の破産事件の場合には、全体の事件として64115件が報告されており、このうち同時廃止が41373件のため、約1/3は配当なしの簡易手続きを踏んでいることがわかります。
次に、前年の破産状況を見てみましょう。
前年の平成27年度の全国の破産事件は72026 件、法人破産が7846件、法人破産のうち管財事件とされる件数が7628件(破産手続き終結2175件、異時廃止5453件)、同時廃止が3件です。
平成27年度は、平成28年度に比べ、全体の破産数、法人破産数の両方の件数が多くなっています。そのため、平成27年度に比べると28年度の破産数は減少しているということができます。
破産数が全体で710件減少、このうち法人破産は645件と大半を占めています。
個人の破産ではなく、法人破産の多くが減少しているようです。
このように、全国規模では、個人破産と比較しても、法人破産が大きく減少しています。昨年である平成29年度の司法統計が出ていないためわかりませんが、景気が少し上向いていた証拠かもしれません。
(2) 千葉県内の破産状況。平成27・28年度の法人破産数は?
次に、千葉県の破産状況をみていきましょう。
司法統計によると、平成28年に千葉県内の破産事件は、新受の破産事件が3058件、既済の破産事件が3067件、未済の破産事件が918件と報告されています。
全国の破産事件(既済)が71316件だったことと比較すると、約23%が千葉県内の破産事件ということになります。
1/4近くの数の破産が千葉県内で行われているというのは、企業が集中している東京を除くと、かなり多い数字といえます。
前年の平成27年度を見てみると、新受破産事件2752件、既済事件2496件、未済既済事件927件という結果です。
平成28年度の既済破産事件と比較すると、-571件のため、平成27年度の方が破産が少なかったということになります。
そして、平成28年度は破産事件が増加したということになりますので、全国とは反比例の結果です。
千葉県内の法人破産件数についての司法統計はありませんが、全国の状況と照らし合わせると、全体の数に比例して法人件数も上がる傾向にあるため、法人破産も増えていたことが予測できます。
このように、平成28年度の時点では、千葉県内の自己破産は増加傾向にあります。
(3) 千葉県のデータからみる千葉県&柏市の最新破産事情
司法統計では、平成28年度が最新統計となります。しかし、千葉県の統計では、昨年度の平成29年度の統計の公表されており、法人の倒産件数についての最新事情が把握できます。
平成29年度、千葉県内の倒産件数は237件でした。前年よりも41件減少しており倒産数は大きく減少しています。
ここ10年の間でピークだった平成21年度は436件だったことを考えると、半分近くまで減少しているといえます。
平成29年度の倒産は、中小企業や零細企業の小口倒産が多く、全体の約73%程度という結果です。業種別では、建設業が最多で約27%を占めています。
では、柏市内の倒産件数はどうなっているのでしょうか。
柏市内の倒産件数は、公表されていません。しかし、柏市の事業者数の増減については把握することができます。平成26年度の事業者数は12776であったのが、平成28年度には12986となっています。210件増加しており、地元の企業は増加傾向にあることがわかります。
このように、千葉県の最新統計では、倒産数は減少しています。柏市も地元企業が増加傾向にあるため、地域経済としては良い方向に向かっているといえます。
2.柏市で法人破産。管轄裁判所、裁判所費用
次に、柏市で法人破産を行う場合の裁判所情報、裁判所費用をお伝えします。
(1) 柏市で法人破産する際の管轄裁判所
では、柏市で法人破産を行う場合の管轄裁判所はどこにあるのでしょうか。
法人破産を含む破産事件全般の場合については、破産法に管轄の規定があります。
破産法5条によると、「債務者が、営業者であるときはその主たる営業所の所在地…を管轄する地方裁判所が管轄」と規定しています。つまり、千葉県内で法人破産を行う場合は、千葉県の管轄裁判所をチェックする必要があるということです。
千葉県の管轄区域表で調べてみると、千葉県柏市で破産事件を起こす場合には、千葉地方裁判所、千葉地方裁判所松戸支部に管轄権があることがわかります。ちなみに、柏市以外でも、松戸市,野田市,流山市,我孫子市,鎌ケ谷市は同じ管轄裁判所となるので、参考にしてみてください。
このように、破産事件の管轄は、破産法に規定されており、管轄区分は裁判所のホームページにて公開されています。
柏市以外でもお近くの管轄裁判所が気になる方は、「千葉県・管轄」で検索してみてください。
(2) 千葉地方裁判所本庁と松戸支部。どっちが正解?
柏市の破産事件の管轄は、千葉地方裁判所と千葉地方裁判所松戸支部であることがわかりました。では、どちらに申立てを行えば良いのでしょうか。
柏市の場合は、比較的近い裁判所である千葉地方裁判所松戸支部に申し立てを行うことになります。本庁まで出向かなくとも、松戸支部の破産再生係にて、申し立てを行うことが可能です。
以下、千葉地方裁判所松戸支部の住所となります。
千葉地方裁判所松戸支部
〒271-8522
千葉県松戸市岩瀬無番地(JR常磐線松戸駅から徒歩7分)
※検察庁法務局と、相模台小学校の間に位置しています。
柏市で自己破産・法人破産をお考えの方は、参考にしてみてください。
(3) 柏市の裁判所の申立て費用
次に、柏市で法人破産を行う場合にかかる裁判所費用をお伝えします。
統計で見たとおり、法人破産の場合はほとんどの場合が管財事件です。法人破産の場合は、資産が多くあることも理由の1つですが、債権者が多く法律関係が複雑なため、管財事件となるケースが多いのが理由です。
管財事件には、少額管財と通常管財の2つの種類があります。それぞれの費用をみていきましょう。
少額管財
収入印紙1000円、郵便切手4750円、予納金213197円
合計21万8947円通常管財
収入印紙1000円、郵便切手4750円、予納金70万円(5000万円未満の負債)、100万(5000-1億未満の負債)※負債総額が増えると予納金も増加します
合計70万5750円〜
少額管財は、通常管財を簡易的にしたもので、破産管財人の負担が減ります。そのため、裁判所費用が安く設定されています。
ただし、少額管財は弁護士への依頼が必要です。また、法人破産と同時に代表者の破産も申立てる場合は、代表者個人の予納金として11万6550円が別にかかります。
ちなみに、債権者数が100名以上いるようなケースや5000万円以上の負債総額があるようなケースを除き、少額管財を選択される方が一般的です。
予納金にも大きな差がありますので、破産手続きの種類についても理解しておくと良いでしょう。
このように、法人破産の場合は、裁判所費用だけでも数十万円の手数料がかかります。できるだけ費用をおさえるためには、少額管財の利用がおすすめです。
3.法人破産をすべきか迷っている…他の選択肢
法人破産をご検討中の方は、法人破産以外の選択肢も考えたいと思っていることと思います。では、法人破産以外にも倒産手続きはあるのでしょうか。
倒産手続きには、法的整理と私的整理の2つがあります。
法的整理とは会社の倒産処理について裁判所で手続きを行う方法のこと、私的整理とは裁判所を通さずに自主的に倒産手続きを進める方法のことです。
法人破産は、法的整理の1つであり、裁判所に申立てを行い法人破産の手続きを進めていくことになります。
倒産手続きとしては一般的なものですが、取引先との関係や企業価値を損ないたくない場合など、裁判所を通して進めたくないケースもあるでしょう。このような事情がある場合には、私的整理という選択肢があります。
私的整理では、支払い延期措置などを行い、銀行や債権者と交渉を行うことで手続きを進めていくことができます。
自主的に倒産手続きを進めていくため、高額な予納金はかからず、企業価値も損なわずに売却などを行うことができます。
手続き自体も簡略化できるため、会社の規模や事情に合わせて整理していくことがメリットの1つです。
もっとも、裁判所を通した手続きではないため、債権者の合意が得られないケースもあります。法人破産の場合なら、全員の合意が得られない場合でも倒産手続きを進めていくことができますが、私的整理の場合は難しいケースもあります。
また、交渉は、弁護士など法律の専門家を介して行うことをおすすめします。
このように、法人破産以外には、私的整理を行うという選択肢もあります。もっとも、倒産まで逼迫した状況である場合には、法的整理を進めなければいけないこともあります。できるだけ早い段階で倒産手続きを進めていくことが大切です。
4.柏市周辺で法人破産をご検討中の場合は弁護士にご相談を
柏市内で会社を経営されている方で、現在経営難に陥っているという状況がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
「1円も支払えない」という状況になってしまうと、急遽破産手続きを進めることになり、突然のことから多くの関係者に混乱を引き起こしてしまう可能性もあります。
柏市、松戸市、我孫子市、流山市、野田市、常磐線・野田線沿線にお住まい、お勤めの方で、法人破産をご検討中の方は、ぜひ泉総合法律事務所柏支店にご相談ください。
早い段階でご相談いただければ、取引先や債権者にもできるだけ配慮した形で破産手続きを進めていくことができます。倒産手続きは、柏市の専門家にお任せください。
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